福岡、飲酒後三児死亡事故は危険運転罪に非ず
福岡で、市の職員が、大量の飲酒の後、時速100kmで走行しながら12秒間も脇見運転した挙げ句、車に追突した。
追突された車は、橋から海に転落、幼い三人の命が絶えたという事件の判決があった。
福岡地裁は、検察の主張する「危険運転致死傷罪」を適用せず「業務上過失致死傷罪」などで元福岡市職員に懲役7年6カ月を言い渡した。
要するに「危険運転致死傷罪」は過失でなく故意(未必の故意)犯であるが、これを立証できないと言うことの様である。
法治国家であるから、感情だけで判決を左右してはならないのはもちろんだが、今回の「未必の故意」の要件不足というのには些か納得できない。
<犯人は約4時間の間に自宅や居酒屋、スナックで缶ビール1本と焼酎のロック8〜9杯のほか、ブランデーの水割り数杯を飲んでおり、逃走して水をがぶ飲みするなどして、一時間以上経過後に呼気検査をされ、その時点でも酒気帯び状態であった>
これは事実とされており争点とはなっていない。
問題は『アルコールの影響により正常な運転が困難な状態だった』かどうかである。
裁判官は、
「事故の前に、狭い道や、コーナーを、蛇行もせず、接触もせず走り抜けている」事や「1時間以上後の呼気検査が『酒気帯び』の範囲である」事等を主たる理由に、
「酩酊(めいてい)状態ではなく、アルコールの影響により正常な運転が困難な状態だったとは認められない」
と言う事のようである。
この裁判官は、世論に惑わされず法律家として判決を出そうとする余り、法の条文に囚われすぎているようにも感じられるが、それはおいてトノゴジラの考えは以下のような物だ。
そもそも自動車は危険な物であるが故に、日本では自動車の運転自体禁止されているのである。
しかし、それを理解し、遵法の上運転をする条件の下に「免許」が与えられて運転が可能になる。
斯様に禁止されている事に、重い条件と責任を負わされて免許を与えられた人間が、壁に当たったり蛇行運転を行い、尚かつ運転を続ける状態というのは『アルコールの影響により正常な運転が困難な状態』と言う事すら既に判断出来ない状態ではないのか?「故意」云々以前の問題であろう。
しこたま酒を飲み、一般道を時速100Km/hで走行しながら12秒間も脇見をするだけでも、私は充分に「アルコールの影響により正常な運転が困難な状態」だと思う。
運転免許所持者として、素面では、とても出来ない行動だからである。
出来るとしたら「居眠り運転」であろう。
今回は「居眠り運転」ではなく「脇見運転」だからこそ「正常な運転が困難な状態」と思うのである。
狭い道を抜け、カーブを回る事は、特に走ったことがある道ならば、所謂「脊髄が運転してくれる」のである。
余程の事が無ければ、こすることもなく、途中を覚えていなくても、信号に反応し、しっかり家までたどり着く事は可能である。
しかし、一般道路を時速100Kmで走りながら12秒間も「脇見運転」が続けられると言うのは、どう見ても、免許を与えられた運転者としては脳に障害を引き起こしているようにしか見えない。つまり、既に正常な運転が困難な状態では無いかと思う。
普段運転を経験されている方なら、この12秒がどれだけの時間かいう感覚はご理解頂けると思う。
私は、裁判官の判断が、良いとか悪いとか言えるような立場では無いが、素人なりに、また38年間2輪・4輪で道路を走ってきた者として、「正常な運転」の判断には違和感を感じてしょうがない。
判例の幅が広くなりすぎないうちに、上級審での解釈の限定化をのぞむが、この法律自体の曖昧さを考えると法改正の必要性も大きいと思われる。
以下、新聞各紙も社説やコラムで取り上げているので、リンクを貼っておく。
朝日新聞 社説「3児死亡事故―危険運転でないとは」
読売新聞 社説「福岡飲酒事故 「危険運転」罪の壁は厚かった」
毎日新聞 クローズアップ2008「福岡3児死亡事故判決 『危険運転』高い壁」
産経新聞 主張「3児死亡事故判決 危険運転罪の見直し急げ」
























